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いわいレポート:第31回
私の心の底に深い怒りがあります。深い疑惑かも知れません。それが絶えず私を悩ませます。こんな馬鹿なことが行われてよいのか。こんな詐欺が大規模に公然と長期にわたって行われてよいのか。“少数の人を長期にわたって騙すことはできる。多数の人を短期に騙すこともできる。しかし多数の人々を長期にわたって騙すことはできない”という諺があります。しかしこの詐欺は既に世界中の人を四十年近く騙し続けているのです。
犯罪の発端は1971年8月、ニクソンがドルと金の交換を廃止したことに始まります。この日からドルはただの紙きれになってしまったのです。さすがにニクソンも不安があったのでしょう。「とりあえず一時的に金との交換を廃止する」と発表しました。紙きれのドルで今まで通り世界中からあらゆるモノが買えるのか。世界の基軸通貨として通用するのかという不安です。しかし実際には通用したのです。
当時アメリカは既に世界最大の経済大国でした。戦後の荒廃から立ちあがろうとする各国はアメリカにモノを輸出し、その金で経済を復興するしかなかったからです。また石油はドルでなければ購入できませんでした。世界最大の株式市場もアメリカでした。結局アメリカに依存するしかなかったのです。
アメリカはこの動向を注意深く見守り、3年後の1974年12月に米国民に金所有の自由化を認め、金の先物市場の開設を認めました。真のドル紙きれ時代が始まったのです。ここからアメリカの更なる本格的な繁栄が始まります。
現在もアメリカ経済学の主流派であるニューエコノミー学派は高らかに歌いあげます。「人類は初めて金という貨幣の束縛から解放された。その国の経済力が貨幣の価値を決定する」「アメリカの繁栄は永遠だ」と。
嘘を言っては困る。本音は経済力と暴力(軍事力)だ。しかもこの経済力こそ架空のものだ。砂上の楼閣だ。第一に永遠など物理学の世界でもあり得ない。本音を言えばこれ以降アメリカは金を採掘することも精錬する必要もない。ただ輪転機を廻せば良い。モノを作る必要もない。印刷した紙きれで世界中からモノを買えば良い。アメリカの産業が衰退し貿易収支も経常収支も赤字になったわけだ。勿論相手国にはドルが溜まる。このドルをドル預金に高金利をつけて自国に還元させる。財政赤字も同様国債に高金利をつけて世界中に売却する。要は借金漬けになるわけだ。
しかし基軸通貨を握っていることはなんとも強い。相手国が儲けすぎるとドル安に誘導する。しめつけ過ぎると考えればドル高に誘導する。どちらにしても支払は紙きれのドルだ。最後は踏み倒せば良い。
ともかく世界中のカネをアメリカに集中させなければならない。このため輪転機を廻してドルを世界中にばらまく。世界中にインフレが起こり投機ゲームが起きる。このため経済戦争に破れたソビエトは1989年に崩壊する。
1980年から2001年の20年間にアメリカの実態経済は2〜3倍に過ぎないのに金融資産は6倍強に、株式は10倍を越えた。
インフレによりアメリカの企業は厖大な金融資産と不動産を持つこととなる。「買いなさい、買いなさい、アメリカの株はもっと上がる」と投機を煽る。銀行は資産価値の増加した企業に湯水のように金を貸す。株価の上昇と金融機関の貸し込みで、厖大な過剰流動資金を手に入れた企業は投機に走る。苦労が多く利益の少ない生産などにかまってはいられない。文字通り世界中に溢れた金がバクチに走る。カジノ資本主義が生まれる。
以前多くの経済学者は「先ず大きくなる企業を発展させよう。やがてその儲けは市場全体に及ぶ」と説いた。そんなことは全くない。発生したのはインフレであり、それは下請企業や下層階級に徹底した差別と貧困を生んだ。これがグローバリズムの実態だ。
(つづく)
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