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いわいレポート:第32回

−ドルの紙きれ化がインフレと格差社会を生んだ(その2)−


2008年09月26日

 

(アメリカの格差社会の実態) 

 

アメリカの格差社会の実態がどんなにひどいか(勿論日本も同様であるが)「ルポ貧困大国アメリカ」(堤未果著 岩波新書)のルポルタージュがあますところ語っている。

 

 アメリカ国勢調査局の貧困の定義は、4人家族で世帯年収が2万ドル以下(210万円)としているが現在この貧困人口が36.5%に達し1億200万人に及ぶ。

 また6000万人が1日7ドル以下(730円・月額2万2千円)で生活しており、また仕事に就いていても低賃金のため生活出来ないワーキングプアーと呼ばれる人が3700万人という恐ろしい実態である。著者に対し「イラクや北朝鮮では非常な独裁者が国民を飢えさせていると大統領は言いますが、貴方の国の国民を飢えさせているのは一体誰なの?」と人々は訴えます。

 更にアメリカは先進国中、国の医療保険のない唯一の国であるが(国民は自力で医療保険に加入するしかない)この無保険者が4700万人(人口の17%)に及ぶ。

 

 マイケル・ムーアの記録映画「シッコ」に詳しく記録されているが,病院に来た多数の患者が受付で待たされ、先ず「どの保険会社の医療保険に入っているか」を聞かれ、事実かどうかを照会される。無保険者や保険切れの患者は表玄関に止まっているタクシーに乗せられ、ワンメータ先の公園などに放置される。指を二本切断した患者に対し受付が、「貴方の保険では一本しか複合できない。どちらの指にしますか」と照会する、などの恐ろしい実態が明らかにされている。

 

 私たちはテレビのER(緊急治療センター)などを見ているので、多くの人はあれがアメリカの医療の実態だと誤解しているがとんでもない。あれは寄付金で運用されている特殊な医療機関で、大都市にごく少数あるに過ぎない。

 同じく映画「8マイル」にはこうした貧困層の実態が実に生々しく描かれている。ご覧になっていない方はぜひこの二本のビデオを見て欲しい。

 

 こうした貧困と対極の例がアラブのドバイの繁栄である。

 かつては砂漠の街であり、真水などほとんどなく夏は40度を超す酷暑の地ドバイに、いま世界一の観光地が建設されている。

 

 湯水のように石油を使い、海水を淡水化する厖大なプラントで真水を作り、川を作り、森林を作りプールからビーチが作られ、世界中の高級ホテルが林立する。文字通り贅を尽くして砂漠を水と森のオアシスに変えた。

 更に海を埋め立て、厖大な人工島を作りヨットハーバーやプライベートビーチをもつ高級マンションが林立する。

 

 現在建設中のドバイタワーは世界最高の建築物で高さは800mに達する。カジノを超える多くの歓楽街が競い合い、後楽園(現・東京ドーム)の4倍もあるスキー場まである。

 世界中から金持ち、有名人が遊びに来る。アラブの王侯が家来を1500台のベンツに乗せて長期間滞在するなど文字通り今ドバイはハワイとカジノを超える世界一の歓楽街に変貌している。

 

 当然のことだがアメリカが起こしたドル紙幣の増し刷により世界中に暴発したインフレは、金持ちの間だけの投資・投機に廻り、享楽と退廃を生んだ。

 その結果格差が世界中に拡がり、中間層は没落し、厖大な貧困層を生み出す。当然貧困民族、被搾取民族によるテロと内乱が多発する。

 

 これが現代世界の実態である。この狂乱はどこまで行くのか。

 

 

 


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