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2007年5月10日:名古屋事務所
経済産業省は金融機関から債務減免を受けて再生を目指す中小企業向けの私的整理に関する指針案をまとめた。後継者が見つかりにくい中小企業の事情に配慮して経営者に退任を求めず、再建にかける時間も余裕を持たせるのが特徴。各都道府県で試験運用を始め、中小企業版「私的整理ガイドライン(指針)」として活用する。ただ金融機関には経営責任があいまいなままの債務減免措置に慎重な声が多く、普及には課題も多い。
経産省は指針案を地方版の産業再生機構といえる各都道府県の「中小企業再生支援協議会」にすでに伝達した。地方銀行や信用金庫など地域金融機関の意見を聞いたうえで、問題がなければ7月に中小向け指針として正式に決める方針だ。
【中小の事情に配慮】
全国銀行協会や日本経団連が2001年にまとめた私的整理ガイドラインは、主に大企業を対象に想定。経営責任を問うために経営者は原則退任、債務超過の解消年数も原則3年以内と、適用条件を厳しくしている。
サービス業で従業員100人以下といった中小企業の場合、経営者が責任をとって退任しても業務を熟知した後継者が見つからなかったり、売却できる資産も乏しい。リストラ余地も限られ、大企業向け指針を適用すると、かえって再生が困難になる問題があった。
今回の指針案はこの点を考慮。債務超過解消までの期間を3〜5年に緩め、経営者の退任も求めない内容にした。条件緩和でモラルハザード(倫理の欠如)を助長する恐れがあるため、再生計画には経常損益の3年以内の黒字化や、有利子負債のキャッシュフロー比率を10倍以内にするといった数値目標を求める。
具体的な手続きは、@中小企業が各地の再生支援協議会に私的整理を相談するA企業と協議会が事業再生計画をつくるB弁護士や公認会計士が計画の実現可能性を判断したうえで、金融機関に債権放棄などを求めるという流れになる。
【債権放棄なら損金算入】
国税庁も金融機関が指針に沿った事業再生計画で債権放棄する場合、損金算入を認め、原則課税しないことを認める方針。金融機関が中小企業の私的整理を支援する環境を整える。
調査会社の東京商工リサーチによると、06年度の倒産件数は5年ぶりに増加に転じ、前年度比1.2%増の1万3337件となった。負債総額は減っており、大型倒産が減る一方、地方の中小企業の倒産が件数を押し上げている。
【緩い基準 モラルハザード懸念も】
経産省が中小企業向けの私的整理の指針案をまとめた背景には、法的整理では企業再生につながりにくい問題がある。ただ大手企業より緩い基準を適用すれば経営責任の追及が甘くなり、モラルハザード(倫理の欠如)を招く恐れも大きい。
企業再生の手段としては中小企業の事情も考慮して作った民事再生法がある。同法に基づく整理でも経営者は続投できるものの、手続きに時間がかかれば事業継続が困難になる。法的整理の持つイメージの悪さも取引先の少ない中小企業には致命傷になる恐れがあり、使いにくい面があった。
帝国データバンクによると2006年の同法の適用申請件数は571件。01年の977件をピークに5年連続で前年を下回った。
指針を利用する民間金融機関側は経営責任をあいまいにしたままの私的整理に否定的。首都圏の地銀幹部は「経営者のモラルハザードを生めば、債権放棄しても経営は立ち直らず、無駄になる」と指摘する。経産省の指針は経営者に私財提供など一定の負担を求める方針も盛り込むが、どこまで金融機関の理解を得られるかは不透明だ。
2007/04/27 日本経済新聞より
中小企業に対する金融機関の融資は、ほとんどが担保付又は保証協会付融資である。費用対効果で考えれば、保証協会付融資は代位弁済を請求し、担保権は任意売却・競売などで回収したほうがよほど効率的である。
また、中小業の経営者は殆んどが連帯保証人であり、さらには、親族までも連帯保証人として保全している。担保権どころか保証人からも、万一の場合は、回収可能である。
金融機関の考える極大回収論から言えば、どの程度、中小企業に対する私的整理に応じるのかは疑問である。また、このガイドラインの各条件をクリアし摘要可能となる中小企業はほんの一握りであると思う。結局、零細企業には依然としてハードルの高いガイドラインである。
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