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2008年1月30日:東京事務所

信用組合への過去最高額の資本支援



東京

 信用組合の上部組織である全国信用協同組合(全信組連)が本年3月末に、山梨県民信組、大東京信組、大分県信組、那須信組、中央商銀信組の6信組に資本支援する方向で最終調整に入り、単年度の支援としては過去最大規模の総額200億円になる見通しであることが、126日付日経新聞の一面トップで報じられた。

 中でも最大の108億円の支援を申請した山梨県民信組は自己資本率が4%台への低下が予想され、4%を割ると金融庁から早期是正措置命令を受けるため、経営陣の辞任を条件に支援が見込まれる。全信組連は毎年度資本援助し、昨年度は約20億円を実施した。その累積額は約300億円に上るが、今年度は一気にその23に当たる多額の支援を行い、業界全体に信用不安の広がる恐れを払拭することが目的。さらには、地域金融機関に公的資金の予防注入を行う「金融機能強化法」が本年3月末に期限切れを迎え、4月以降に破綻の恐れのある信組に公的資金の注入ができなくなる可能性が高まることも原因、と伝えられた。

 中小企業の自己資本率は平均15%位しかない。残りの85%の大半は金融機関からの借入れであり、金融機関からすれば資本金を貸しているのと同じことである。日本の金融機関はアメリカの投資銀行に比べ、資金量に対し圧倒的に貸出金比率が高く、新BIS規制の自己資本比率4%以上を要求すること自体に無理があるが、その4%を達成できない中小金融機関が経営を悪化させても、公的資金を投入せず放置し、倒産または廃業させるのが正当であるような考え方は大きな誤りである。

 もともと信用金庫や信用組合は、戦前の庶民的な(無尽的な)ものから発展したものである。 地域の中小・零細企業や個人事業主を主な取引先としている信用組合は、貸し出しや有価証券の運用で得た利益を組合員に配当することになっているが、その組合員もまた中小・零細企業や個人事業主である。結局、大手銀行や地銀のように不良債権処理は進めにくく、その比率は高止まりしていると伝えられる。

 しかし本来、こうした金融機関には極力強引な不良債権の法的処理を避け、柔軟な処理を実行させるべきである。担保物件は極力競売を避け、任意売却させる。延滞債権についても当面5年間は元金棚上げし、利息も下げさせることによって、利息入金を促進させる。利息さえ入金されれば、正常債権に変わるものも出てくるはずである。利息収益が低下しても、本来は倒産の危機にある金融機関を救済するのが目的であるから、徹底したリストラの実行ももちろんだが、(長崎信組が実行したような高金利借入れに苦しむ人を対象にする救済融資を始め多くの人を救済したことで、評判が上がり、預金も著しく増加した実例が示すとおり)地元のニーズに合わせて積極的な融資を行い、創意と工夫で地元発展に寄与する方策を実行することで、必ず健全な経営に戻り発展することができるはずである。県民・地元民のアイデアを集めて実現を図ることが、更に県民・地元民の信頼を深められるはずである。新たな経営陣には地元経済界などから有能な人材の協力を求め、地元のニーズを知っている人々を迎え、地元民と協力して出資金、預金を募り、ニーズに合った貸出しを実行するという原点に立ち戻ることが重要であろう。

今回の全信組連の支援策が大きな波紋を広げ、その支援目的とは裏腹に、経営破綻の危機に瀕する信組が生まれ、連鎖で廃業の危機に見舞われる中小・零細企業が発生するのか、あるいは期待に近い効果を生み、多くの信組と企業が救われるのかは、今後政府が打ち出す政策が大きな分かれ目を迎えさせる。しかし、他力本願に頼るだけの金融機関も企業も、いずれ行き詰まり立ち行かなくなるだろう。協力者の声も真摯に受け入れて力も借りながら、何よりも自らの力を信じて、時を無為に過ごすことなく手を打って出る金融機関と企業なら必ず再生できる。

 再生のために考えられ得る手立てを早めに検討し、できることを着実に実行することが大事だ、と言えば当たり前なことである。しかし、その当たり前なことを実行することが実は難しい。中小・零細企業の経営者がただ手をこまねいて危機を大きくさせることがないよう、着実に再生策を実行するために、企業ドクターは支援を行っている。

   

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